食虫植物

食虫植物navi - 食虫植物の種類と育て方

食虫植物の種類と育て方をやさしく解説!ホームセンターや園芸店で良く見かける食虫植物を中心に、日用品を活用したアイデア栽培方法をご紹介します。

食虫植物セファロタス

食虫植物は名前のとおり昆虫を食べてしまう植物です。常識という限界を越え、新しい可能性へと至った超植物、そんな食虫植物は不思議な魅力に溢れています。

食虫植物の中には、ちょっとしたポイントを押さえておくだけで簡単に栽培することができ、そして、増やすことができる種類もたくさんあります。そして、食虫植物の栽培を楽しむ上で最も大切なこと、それは何より、丈夫で育てやすい種類を選ぶことです。

そこで、このサイトでは、数ある食虫植物の中から始めての方にも育てやすいように、入手しやすく、育てやすい種類を中心に、美しく魅力的な食虫植物をご紹介していきたいと思います。

食虫植物について

園芸植物として古くから愛好されていることから伺えるように、食虫植物は鑑賞価値もたいへん高く、ハエトリソウを始めとして、ウツボカズラやモウセンゴケなどのように不思議な形の補虫葉を楽しめる種類や、ムシトリスミレやタヌキモ、サラセニアのように、美しい花まで楽しめる種類もあります。

ところで一般の植物にはアルカロイドという成分(毒草の毒成分、あるいは薬草の薬成分)を含んでいて、これは昆虫の捕食への抵抗となったりもしますが、食虫植物は昆虫に対抗できるアルカロイドを持たないため、草食の昆虫に食べられやすい傾向があります。

つまり、もしかしたら、食虫植物は肉食の昆虫に強く、肉食の昆虫は草食の昆虫に強く、草食の昆虫は食虫植物に強い、という、三すくみの関係なのかもしれません。

食虫植物とは

食虫植物は養分の少ない枯れた大地で生き延びるために、昆虫などの小さな生き物を補食するように進化した植物たちです。

そのため、食虫植物には色々な植物が含まれています。ナデシコの一種であっても、ツツジの一種であっても、虫を捕らえて消化する植物は、みんな食虫植物です。

ツツジからはサラセニアが、シソからはムシトリスミレやタヌキモが、カタバミからはセファロタスが、そしてナデシコからはハエトリソウやモウセンゴケ、ウツボカズラなどの食虫植物が進化してきました。

いろいろな種類の普通の植物たちが、いっせいに食虫植物になるべく進化していったというのも興味深いことです。

食虫植物の生息地

食虫植物は多くが湿度の高い場所に生息しています。温帯から熱帯まで広く分布し、北アメリカにはハエトリソウやサラセニア、南アメリカにはヘリアンフォラ、熱帯アジアにはウツボカズラ、オーストラリアにはセファロタス、そしてモウセンゴケは世界中で見ることができます。

食虫植物の習性

食虫植物は、地表で歩行性の昆虫を捕食するもの、崖や樹木を這い登りながら高い位置に補虫袋をつけて飛行する昆虫を補食するもの、そして水中の微生物を補食するものがあります。

補虫の方法としては、葉をツボのような形をした補虫袋に変化させて落ちてくる昆虫を補食するものや、接着剤のような液を出して葉に貼り付けてしまうもの、葉を動かして虫を飲み込んでしまうものがあります。 

食虫植物の中にはとびきり大きな補虫袋をつけるものもいて、そのような種類は昆虫だけでなくカエルなどの小さな脊椎動物を補食することもあります。なお、海外では食虫植物は「Carnivorous Plant(肉食植物)」と呼ばれています。

食虫植物の好む環境

食虫植物は種類によって、それぞれ好む環境が違いますので、栽培する環境で育てやすい種類を選ぶようにすれば、無理なく食虫植物の栽培を楽しむことができます。

いずれにしても、食虫植物も植物であることに変わりはありません。つまり、水と光がなくては十分なエネルギーを作れず、無風であれば十分に呼吸できず、この三つの重大な要素のどれかに問題があれば、代謝が著しく阻害され、極端に生長が遅くなったり、場合によっては枯れてしまいます。

そうした植物としての最低限のポイントを押さえた上で、種類ごとの環境づくりを行っていけば、丈夫な種類であれば温室に入りきらないほど元気に生長し、増えてくれることでしょう。

室内でも栽培できる食虫植物

食虫植物を室内で育てる場合、まず、屋外とは日照の強さが全く異なることに注意しなくてはなりません。

どんなに明るい蛍光灯を大量に設置しても、屋外の日照には全く比べるべくもないからです。そのため、蛍光灯だけで栽培する場合、弱光で育つ種類を選ぶ必要があります。

セファロタス(フクロユキノシタ)

食虫植物セファロタス
セファロタス

セファロタスは壺のような捕虫葉を地面に並べるオーストラリアの固有種です。虫を食べるという特殊な植物である食虫植物の中でも、ひときわ異彩を放つ個性的な食虫植物で、セファロタスならではの魅力があります。

小型で場所を取らず、蛍光灯だけで育てられますので、室内での栽培にはうってつけです。あまり乾燥しすぎないように注意し、部屋の湿度が40パーセントを下回るようなら、加湿器を付けたり、大きめのプラスチックコップなどで覆うようにします。

さらに詳しいセファロタスの育て方は、こちらがおすすめ

参考:セファロタス フォリキュラリス

ネペンテス(ウツボカズラ)

食虫植物ネペンテス グラシリス
ネペンテス グラシリス

ネペンテスも弱光に強く、室内で育てやすい食虫植物です。大きく見応えがありますが、寒さと乾燥に弱いので、室内温室で育てたいところです。

夏のホームセンターでは、アラタ(ヒョウタンウツボカズラ)と、食虫植物愛好家の間では意外にレアとなっているグラシリスの、二種類のネペンテスがお馴染みです。

アラタは低温や乾燥にもいくらか耐性がありますので室内の暖かい場所で、グラシリスは小型で温室にも入れやすいため、暖かく湿度を保った室内温室での栽培が適しています。

ピンギキュラ(ムシトリスミレ)

食虫植物ピンギキュラ エセリアナ
ピンギキュラ エセリアナ

ピンギキュラの中でもメキシカンピンギと呼ばれるグループは、弱光にも乾燥にも強く、室内にそのまま置いておける育てやすい食虫植物です。

特にエセリアナ(ヒメアシナガムシトリスミレ)は小型で場所を取らず、可憐な花も楽しめておすすめです。

ベランダなど屋外での栽培に向いた食虫植物

蛍光灯の光量では美しく育てることが難しい種類でも、屋外なら元気な姿を鑑賞することができます。

ただし、気温の変化による影響や、台風などの影響により、場合によっては一夜にして全滅してしまうというリスクもあります。また、忘れ去られて気付いたら干からびていた、という人為的なミスも起こりえることです。

食虫植物を屋外で育てる場合には、いつも意識して気に留めておいてあげることが何より重要です。

ディオネア(ハエトリソウ、ハエトリグサ)

食虫植物ハエトリソウ
ハエトリソウ

虫をわしづかみにして捕らえるという世紀の珍草、驚異の食虫植物がディオネアです。

夏には良く見かけますが、巨大化するもの、立ち上がるもの、全体まで赤くなるものなど、よく探すと色々なディオネアを集めることができます。

意外と弱光にも強く、室内温室でも育てられますが、屋内では暖かすぎて休眠しないため、屋外での栽培が適しています。休眠中は凍っても大丈夫なほど耐寒性があります。

ヘリアンフォラ

食虫植物ヘリアンフォラ ミノール
ヘリアンフォラ ミノール

失われた大地「ギアナ高地」に生息する原始的な食虫植物です。幻の秘境に生息する、ロマンに溢れた食虫植物ですが、やや栽培の難しい種類です。

環境が合わないと枯れないまでも、いっこうに大きくならず、細々と生きているという状態になりがちです。

適度な日照と、冷涼で湿度の高い環境を好みます。

ヘリアンフォラの中ではミノールが安価で入手しやすく、意外に丈夫で育てやすいため、ヘリアンフォラ入門としておすすめです。

ドロセラ(モウセンゴケ)

明るい日照を好むドロセラは屋外での栽培に適した植物です。湿地に生息している種類も多く、常に湿った用土と高い湿度を好みます。

このため、風を抑えて湿度を高く保てる屋外温室や、湿度を保つための容器に入れて栽培するのが良いでしょう。

サスマタモウセンゴケなどのように凍っても大丈夫な種類もいれば、寒さにも暑さにも弱い種類もいますので、種類に合わせた環境づくりを心がけるようにします。