食虫植物は名前のとおり昆虫を食べてしまう植物、それはあたかも植物が動物へと進化しようとしているかのようです。そして食虫植物は、ちょっとしたコツさえ知っていれば簡単に栽培することができ、そして、殖やすことができるのです。
食虫植物の栽培を楽しむ上で最も大切なこと、それは何より、丈夫で育てやすい種類を選ぶことです。また、水槽や温室で育てるのが一般的ですが、1鉢か2鉢の食虫植物を育てるために、わざわざ水槽や温室を用意するのもたいへんかと思います。
そこで、このサイトでは、数ある食虫植物の中から始めての方にも育てやすいように、省スペースで栽培できる小型種、特別な設備のいらない丈夫な種、1株だけでも殖やすことができる種を厳選しまして、日用品を利用した手軽で楽しい食虫植物の栽培方法をお伝えしていきたいと思います。
食虫植物は養分の少ない枯れた大地で生き延びるために、昆虫などの小さな生き物を補食するように進化した植物たちです。ツツジからはサラセニアが、シソからはムシトリスミレやタヌキモが、カタバミからはセファロタスが、そしてナデシコからはハエトリソウやモウセンゴケ、ウツボカズラなどの食虫植物が進化してきました。
園芸植物として古くから愛好されていることから伺えるように、食虫植物は鑑賞価値もたいへん高く、ハエトリソウを始めとして、ウツボカズラやモウセンゴケなどのように不思議な形の補虫葉を楽しめる種類や、ムシトリスミレやタヌキモ、サラセニアのように、美しい花まで楽しめる種類もあります。
食虫植物の中にはとびきり大きな補虫袋をつけるものもいて、そのような種類は昆虫だけでなくカエルなどの小さな脊椎動物を補食することもあります。なお、海外では食虫植物は「Carnivorous Plant(肉食植物)」と呼ばれています。
ところで一般の植物にはアルカロイドという成分(毒草の毒成分、あるいは薬草の薬成分)を含んでいて、これは昆虫の捕食への抵抗となったりもしますが、食虫植物は昆虫に対抗できるアルカロイドを持たないため、草食の昆虫に食べられやすい傾向があります。
食虫植物は多くが湿度の高い場所に生息しています。温帯から熱帯まで広く分布し、北アメリカにはハエトリソウやサラセニア、南アメリカにはヘリアンフォラ、熱帯アジアにはウツボカズラ、オーストラリアにはセファロタス、そしてモウセンゴケは世界中で見ることができます。
食虫植物は、地表で歩行性の昆虫を捕食するもの、崖や樹木を這い登りながら高い位置に補虫袋をつけて飛行する昆虫を補食するもの、そして水中の微生物を補食するものがあります。
補虫の方法としては、葉をツボのような形をした補虫袋に変化させて落ちてくる昆虫を補食するものや、接着剤のような液を出して葉に貼り付けてしまうもの、葉を動かして虫を飲み込んでしまうものがあります。
食虫植物に限らず生物の分類には様々な解釈がありますが、生物の進化をたどる上では遺伝子の解析を用いた分類が主流になりつつあります。そこでここでは、遺伝子情報、いわゆるゲノム解析から実証された分類方法(APG植物分類体系)に基づいてご紹介したいと思います。
はさみこむようにして昆虫を捕まえてしまう食虫植物です。ハエトリソウは北アメリカのノースカロライナ州とサウスカロライナ州だけに自生する希少な植物で、レッドデータブックに危急種としてあげられているほか、ワシントン条約(付属書2)によっても保護されています。
葉から粘着力の高い液を分泌して昆虫を貼り付けてしまう食虫植物です。世界中の温帯から熱帯地域に広く分布し、日本にも数種類のモウセンゴケが自生しています。
ツボのような補虫葉に落ちてきた昆虫を食べてしまう食虫植物です。ウツボカズラは主に東南アジアに分布しますが、一部の種類がマダガスカル島にも自生しています。
ハエトリソウを水草にしたような食虫植物です。ミジンコなどを捕まえます。ムジナモの仲間は地球上に1種類のみですが、アメリカ大陸を除く世界中の温帯地域に分布しています。
ムチのような長い葉を持つモウセンゴケに似た食虫植物です。ドロソフィルムは巨大な上に強力な補虫力を持ち、大きなハチやトンボなども捕らえます。スペインやオランダなどに自生するヨーロッパの食虫植物です。
普段は袋のないウツボカズラのような植物ですが、極めて稀にドロソフィルムのような粘着性の葉を展開し昆虫を捕らえるそうですが、トリフィオフィルムは採取も栽培も困難で、詳しいことはあまり知られていないようです。
地面にツボを並べたような形の食虫植物です。サラセニアは北アメリカに広く分布し、岩だらけの荒野のようなところにも自生しています。とても大きな不思議な形の花を咲かせます。
失われた古代の大地として知られる南アメリカのギアナ高地に分布する神秘の食虫植物、それがヘリアンフォラです。カップのような補虫葉を地面に並べ、昆虫を捕らえます。
まるでコブラがカマ首をもたげて舌を出しているかのような補虫葉を持つ食虫植物です。ダーリングトニアは1属1種の特異な種類です。カリフォルニア州とオレゴン州に分布しています。
ドロソフィルムのような細長い粘着力の強い葉で身を覆いながら茎を伸ばしていく南アメリカ産の食虫植物です。ロリデュラは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。
恐竜時代に生えていた古代の食虫植物です。長い茎を取り囲むようにサラセニアのような補虫袋がついていたそうです。アルケアンフォラはすでに絶滅しているため、現在では中国で発見される化石でしか見ることができません。
スミレのような美しい花を咲かせる食虫植物です。アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパに広く分布しています。花はスミレに似ていますがムシトリスミレはスミレの仲間ではなく、シソの仲間から進化した種類です。
美しい花を咲かせる水草の一種です。タヌキモの地下部には小さな袋がたくさんついていて、入り口に微生物が触れると水ごと吸い込んでしまいます。世界中の寒帯地域から熱帯地域まで広く分布しています。
タヌキモと同じ仲間ですが、ミミカキグサは水草ではなく湿性植物です。水びたしの土中に袋の付いた茎を伸ばし、微生物を吸い込んでしまいます。タヌキモと同じく、世界中に広く分布しています。
ミミカキグサに近い食虫植物で、トンネルのような長い官を湿った土中にいくつも伸ばし、その胃腸のような消化する迷宮に迷い込んだ微生物を捕まえます。ゲンセリアは南アメリカとアフリカに分布しています。
細長い葉と茎がスッと伸び、上品な色合いと繊細な粘液のしずくがとても美しい食虫植物です。さらにムシトリスミレのような美しい花も咲かせます。ビブリスはオーストラリアの広い地域に分布する種類です。
チューリップのような葉を持つ食虫植物で、葉を重ねてカップを作り、中に強い酸性の液体を貯めて虫が落ちてくるのを待っています。ブロッキニアは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。ヘリアンフォラと同じくギアナ高地に分布しています。
ランのように着生して育つ食虫植物です。パイナップルのような葉を持ち、中心に貯まった水に虫が落ちてくるのを待ちます。カトプシスは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。アメリカ大陸に広く分布しています。
フタのついた湯飲みのような補虫袋を持つ食虫植物です。セファロタスはたいへん人気の高い珍しい種類ですが、オーストラリアの限られた地域にのみ自生し、レッドデータブックでは危急種としてあげられています。