食虫植物に限らず生物の分類には様々な解釈がありますが、生物の進化をたどる上では遺伝子の解析を用いた分類が主流になりつつあります。そこでここでは、遺伝子情報、いわゆるゲノム解析から実証された分類方法(APG植物分類体系)に基づいてご紹介したいと思います。
葉から粘着力の高い液を分泌して昆虫を貼り付けてしまう食虫植物です。世界中の温帯から熱帯地域に広く分布し、日本にも数種類のモウセンゴケが自生しています。
はさみこむようにして昆虫を捕まえてしまう食虫植物です。ハエトリソウは北アメリカのノースカロライナ州とサウスカロライナ州だけに自生する希少な植物で、レッドデータブックに危急種としてあげられているほか、ワシントン条約(付属書2)によっても保護されています。
ツボのような補虫葉に落ちてきた昆虫を食べてしまう食虫植物です。ウツボカズラは主に東南アジアに分布しますが、一部の種類がマダガスカル島にも自生しています。
ハエトリソウを水草にしたような食虫植物です。ミジンコなどを捕まえます。ムジナモの仲間は地球上に1種類のみですが、アメリカ大陸を除く世界中の温帯地域に分布しています。
ムチのような長い葉を持つモウセンゴケに似た食虫植物です。ドロソフィルムは巨大な上に強力な補虫力を持ち、大きなハチやトンボなども捕らえます。スペインやオランダなどに自生するヨーロッパの食虫植物です。
普段は袋のないウツボカズラのような植物ですが、極めて稀にドロソフィルムのような粘着性の葉を展開し昆虫を捕らえるそうです。トリフィオフィルムは採取も栽培も困難で、詳しいことはあまり知られていないようです。
地面にツボを並べたような形の食虫植物です。サラセニアは北アメリカに広く分布し、岩だらけの荒野のようなところにも自生しています。とても大きな不思議な形の花を咲かせます。
失われた古代の大地として知られる南アメリカのギアナ高地に分布する神秘の食虫植物、それがヘリアンフォラです。カップのような補虫葉を地面に並べ、昆虫を捕らえます。
まるでコブラがカマ首をもたげて舌を出しているかのような補虫葉を持つ食虫植物です。ダーリングトニアは1属1種の特異な種類です。カリフォルニア州とオレゴン州に分布しています。
ドロソフィルムのような細長い粘着力の強い葉で身を覆いながら茎を伸ばしていく南アメリカ産の食虫植物です。ロリデュラは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。
恐竜時代に生えていた古代の食虫植物です。長い茎を取り囲むようにサラセニアのような補虫袋がついていたそうです。アルケアンフォラはすでに絶滅しているため、現在では中国で発見される化石でしか見ることができません。
スミレのような美しい花を咲かせる食虫植物です。アメリカ大陸、アジア、ヨーロッパに広く分布しています。花はスミレに似ていますがムシトリスミレはスミレの仲間ではなく、シソの仲間から進化した種類です。
美しい花を咲かせる水草の一種です。タヌキモの地下部には小さな袋がたくさんついていて、入り口に微生物が触れると水ごと吸い込んでしまいます。世界中の寒帯地域から熱帯地域まで広く分布しています。
タヌキモと同じ仲間ですが、ミミカキグサは水草ではなく湿性植物です。水びたしの土中に袋の付いた茎を伸ばし、微生物を吸い込んでしまいます。タヌキモと同じく、世界中に広く分布しています。
ミミカキグサに近い食虫植物で、トンネルのような長い官を湿った土中にいくつも伸ばし、その胃腸のような消化する迷宮に迷い込んだ微生物を捕まえます。ゲンセリアは南アメリカとアフリカに分布しています。
細長い葉と茎がスッと伸び、上品な色合いと繊細な粘液のしずくがとても美しい食虫植物です。さらにムシトリスミレのような美しい花も咲かせます。ビブリスはオーストラリアの広い地域に分布する種類です。
チューリップのような葉を持つ食虫植物で、葉を重ねてカップを作り、中に強い酸性の液体を貯めて虫が落ちてくるのを待っています。ブロッキニアは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。ヘリアンフォラと同じくギアナ高地に分布しています。
ランのように着生して育つ食虫植物です。パイナップルのような葉を持ち、中心に貯まった水に虫が落ちてくるのを待ちます。カトプシスは消化酵素を持っていないことから食虫植物とは認められないという人もいます。アメリカ大陸に広く分布しています。
フタのついた湯飲みのような補虫袋を持つ食虫植物です。セファロタスはたいへん人気の高い珍しい種類ですが、オーストラリアの限られた地域にのみ自生し、レッドデータブックでは危急種としてあげられています。